「ブラック企業にだけは就職したくない」「うちの会社ブラックかも?」
ネットやテレビでよく聞くブラック企業とは実際はどんな会社なのでしょう。
- 上司が毎日「お前がとろいから迷惑だ!居る意味がない!」と怒鳴ってくる
- すれ違うときにお尻をさわられる。注意しても聞かないし、他の社員も知らんぷりしている
- 終業時刻ぎりぎりで大量の書類を押し付けてくるから家に帰れない
- ずっと自分ひとりだけが倉庫に追いやられて作業している
これらの話は、私が実際に聞いた話の一部にすぎません。
ブラック企業に入ってしまったがために体調不良を起こし、退職後の生活もままならない人もいます。
「そんなこと本当にあるの?」とピンとこない人もいるかもしれませんが、ブラック企業の実態・対策を知ることは自分の身を守ることにもなります。
少し長いですが、ぜひ知っておいてくださいね。
こんな企業は最悪だ!ブラック企業のよくある特徴3つ
企業には「職場環境配慮義務」という義務があります。
簡単に言うと、心地よく働ける環境を作らなければいけないということ。
しかし、中にはこの義務を守っていない企業もあり、それがいわゆるブラック企業と呼ばれる会社です。
ブラック企業に入社してしまい、真面目にがんばって働いた結果、心の健康を害してしまう人もたくさんいます。
ここでは、ブラック企業の実態を知っていただくために代表的な特徴を3つ紹介します。
労働時間が長すぎる・残業代が出ない
勤務時間は9時から17時までなのに、定時で帰ろうとしたら怒られる…。
必要に応じて残業を頼まれることは、どこの企業でもよくあることで違法でもなんでもありません。
しかし、「お前のせいで仕事が遅れている、当然残業代はなし」などと言って、サービス残業を強要する会社。
これは完全にアウトのブラック企業です。
本来、残業をしないと終わらない業務量なのであれば、人を増やすなりして対応するべきです。
「サービス残業で社員をこき使ったら納期に間に合う!」なんて考え方をする経営者や上司がいるのであれば、最悪ですね。
また、「裁量労働制」という制度を導入して、残業代を支払わなくていいようにしようとする会社もありますので気を付けましょう。
勤務時間ではなく、仕事の量に応じて給料を支払う制度。
何時~何時までという定時は無く、自分が決めたスケジュールで仕事を行います。
仕事量で給料が決まっているので、どれだけ時間がかかったとしても残業代は支払われません。
労働者が効率的に自分の生活を守りながら働ける制度といえるでしょう。
しかし、なかには出社時間を強要したり、残業代無しという特性だけを悪用したりするブラック企業も実在しています。
『名ばかり管理職』は出世なんかじゃない
『名ばかり管理職』という言葉を聞いたことはありますか。
肩書は管理職ですが、役職手当として給料がUPすることも権限が増えることも一切ありません。
それなのに責任だけは重くのしかかり、サービス残業をして業務をこなすことを求められます。
なぜこんな理不尽なことが起きるかというと、労働基準法では「管理監督者(管理職)」の役職が付く社員には、残業代を支払わなくても良いとされているからです。
残業代を支払いたくない経営者が、労働基準法を悪用して従業員を『名ばかり管理職』にすることは珍しくありません。
一度入ってしまうとなかなか抜け出せない
ブラック企業では、どんどん仕事を回される・怒鳴られるなどのパワハラで押さえつけられることがあります。
毎日のように繰り返されると恐怖や睡眠不足から判断力が鈍ってしまいます。
そうなると「どうせ退職も認められない」とあきらめて働き続ける、という負のループが出来上がるんです。
このように働く人を追い詰めるブラック企業ですが、はたして見分けることはできるのでしょうか。
次は、就活の時点で気を付けることを解説していきます。
ブラック企業への入社を回避する就活法とは
できることなら誰だってブラック企業に入社したくなんかありません。
ただ、私が人材業界で働いていて思ったのは、「ブラック企業が完全に0になることは難しい」ということ。
テレビやネットで話題になることで少しずつ改善する企業は増えていますが、氷山の一角にすぎません。
だからといって「ブラック企業に就職したとしても仕方ないから諦めろ」ということではありませんよ。
就活をするときに、ブラック企業に入社しないような会社選びをするのが大切だということです。
厳しいことを言うようですが、フリーター・ニート・無職・既卒・第二新卒の方はブラック企業に入社してしまう可能性が高いと言えます。
就活が上手くいかないときに「どこにも入社出来ないなら仕方ないから入れてやろう」と言われると、「もう後がない!」と考え思わず入社してしまうことがあります。
ある意味、カモにされやすいともいえるでしょう。
ブラック企業のカモにならないためには、ただ就活をするのではなく少し工夫をする必要があります。
ブラック企業とホワイト企業の見分け方
ブラック企業があれば、その反対はホワイト企業です。
かなりおおざっぱですが、簡単に比較するとこんな感じ↓↓
- ブラック企業 パワハラ・セクハラ・サービス残業など、働くのが辛すぎる環境
- ホワイト企業 入社したらみんな定年くらいまでいる、働きやすい環境
「できることならばホワイト企業で働きたい」と思った方が多いはずです。
就活をしている時点で、ブラック企業とホワイト企業を見分けられたら一番良いですよね。
ただ、はっきり言って自分で見分けることは難しいのが現実です。
というのも、仕事を探している人が企業・社員の雰囲気といった生の情報を得るのは簡単ではありません。
それでもなんとか自力で就活したいと思う方へ、最低限チェックしておくべきポイントを紹介します。
あくまでも最低限のポイントなので、これだけでブラック企業ではないと判断しちゃうのはキケンです。
ずーっと募集している求人に注意!
就職サイトや求人広告で仕事探しをしていると、「あ、この会社また載っている」と思うことありますよね。
長期間募集しているのは『すぐに辞めてしまっていつも人が足りていないから』という可能性が大きいんです。
人の入れ替わりが激しいのには、労働環境に納得できなかったり人間関係が悪かったりという理由が考えられますので注意しましょう。
書かれている言葉のチョイスに注意!
求人を見てきた中で私が思ったことなので、少し偏見が入っているかもしれませんが…。
ブラック企業の求人には、独特の言葉の選び方があると感じていました。
夢・気合・成長・感謝 | キラキラした自己達成系ワードを連発するが、具体的な仕事内容や実績が明記されていない |
大量採用・積極採用 | 入社してもどんどん辞めていくので、とにかくいっぱい採用しようとしている |
一部残業代として含む・固定(みなし)残業代 | 残業代が基本給に含まれていたり、一定の金額に決まっていたりするので、サービス残業が発生しやすい |
ここで挙げたのはあくまでも一例ですが、こういった言葉の裏にブラックな部分が隠れている可能性もあると思っておきましょう。
『研修あり』には要注意!
求人情報を見ていると「入社後、必ず研修を受けていただきます」という文章が入っていることがあります。
さらっと読み飛ばしてしまいそうになりますが、この『研修』という言葉には注意が必要です。
もちろん、業務をスムーズに行うための正しい研修を行う優良企業がほとんどですが、ブラックな『研修』を行う企業も存在します。
実際に問題になった『研修』内容の一部がこちら。
- 「研修だから仕事とは認められない」と言われ無給で働かされる
- 長時間拘束・怒鳴り口調などで、体力的にも精神的にも追い詰めて言いなりにしようとする
- 「業務で必要な資格を取得するため」と言って何十万円ものお金を徴収する
研修の時点でこんな問題がおこるのですから、仕事が始まればさらに辛い状況になることが予想できますよね。
適切な研修であるかどうかを判断するには、面接で質問してみるのがいいでしょう。
「新人研修とはどのような内容ですか?研修費用はいりますか?」と質問をすることはまったく不自然ではないので、思い切って聞きましょう。
もし、「お金がいる」「業務とは関係のないことをさせられる」「研修期間は無給」ということがわかったら、その会社はブラック企業ですので辞退しましょう。
面接官の態度に要注意!
ブラック企業だと知らずに応募してしまった場合、面接で「あれ?おかしいな」と気付くケースもあります。
例1)圧迫面接
かなり厳しい圧迫面接を行っている場合、その面接官がそのような性格であり、社内でも黙認されていると考えられます。
例2)過度に褒める
「この会社はこんなにもいい」「君は絶対に活躍できる」などと会社や求職者を必要以上に褒め、何が何でも入社させようとします。
このように、極端な面接で不快感・違和感を覚えた場合には、採用されても辞退した方がいいかもしれません。
さて、ブラック企業のチェックポイントを紹介してきましたがいかがでしょうか。
正直なところ、これだけで本当に見分けられるの?と思ってしまいますよね。
このチェックポイントをクリアするブラック企業も多くあるので、安心はできません。
『ホワイト企業に入るための就活方法』をより詳しく知っておく必要があります。
ホワイト企業に入社する確率を上げる
ブラック企業とホワイト企業を自分で見分けることは難しいのであれば、どうやって就活を進めていけばいいのでしょうか。
ハローワーク・就職サイト・就職エージェントなどいろいろ方法はありますが、私なら迷わず就職エージェントを利用します。
私が就職エージェントを選ぶ理由はこちら
- エージェントが仕事内容・実績をしっかり調べてから契約するので、ブラック企業が求人を出しにくい
- 企業は高額の成功報酬を支払って採用するため、人材を雑に扱わない可能性が高い
- 社内の雰囲気や実際に働く人の声を把握している可能性が高い
- 入社後に何かあれば、エージェントに相談して交渉してもらえる
これらの理由から、就職エージェントを利用すればホワイト企業に入社できる可能性が高いと考えています。
ブラック企業排除に力を入れるエージェントを選ぶ
では、実際に『ブラック企業排除』をはっきり宣言しているエージェントもありますので紹介しますね。
UZUZ 既卒/第二新卒
求人数 | 非公表 |
対象 | 18歳~29歳、職歴不問、学歴不問 |
対応地域 | 全国(地方在住者は電話・Skypeでサポート) |
利用料 | 無料 |
求人票・雇用条件・離職率の情報だけでなく、UZUZから入社した人の『リアルな声』も集めてブラック企業を除外。
ホームページでも「ブラック企業を除外」と明記しており、厳しい自社基準を設けて求人紹介をしています。
ここまでは、ブラック企業に入社することを防ぐために出来ることをお伝えしてきました。
しかし、これで絶対に大丈夫とは言い切れません。
入社してしまってから「どうしよう…ブラック企業だった…」と気付く可能性もあります。
そんなときにはどんな対策をすればいいのでしょうか。解説していきます。
ブラック企業に入社してしまったら
ブラック企業には、パワハラ・モラハラ・セクハラといったハラスメントが溢れています。
社会問題となっていますが、多くの会社がハラスメントを容認してしまっているのが現実です。
もしも入社してしまったとき、どのように対応するのが正しいのでしょうか。
ブラック企業で我慢する必要はない
はっきり言って、ハラスメントに耐えることは人生に於いて『無駄』だと思っています。
しかし、一度ブラック企業に入ってしまったら抜け出しにくいことも知っています。
中には、理不尽な目にあい過ぎて「ハラスメントを受けているのかよく分からない」という人もいるのではないでしょうか。
以下のような内容に当てはまっていたら、それは立派なハラスメントです。
アルハラ(アルコール・ハラスメント) |
アルコールを無理矢理飲ませる行為 例)新入社員に一気飲みを強要する |
セクハラ(セクシャル・ハラスメント) |
性的な嫌がらせをする行為 例)相手の承諾を得ずに体に触る。 いやらしい物を目に見えるように置いて相手の反応を見る。 「女性のくせに」「男性のくせに」と性別を理由に相手を貶めたり、待遇に差を付けたりする |
パワハラ(パワー・ハラスメント) |
権力を持った人が、弱い立場の人に嫌がらせをする行為 例)「逆らえば仕事で不利益なことがある」ということを匂わせて人を従わせる |
モラハラ(モラル・ハラスメント) |
言葉や態度で相手の不安感を煽り、自分の思い通りに支配しようとする行為 例)デスクの上を勝手に掃除されて必要な物を捨てられる 「お前が馬鹿で使えないな」なんて酷い言葉をぶつけられる |
強制的なサービス残業 |
モラハラとパワハラの合わせ技 例)上司が「お前が足を引っ張っているんだから終わるまで帰るな」と残業を強要する |
「最近は何でもかんでもハラスメント扱いされる」と言う人もいますが、それは違います。
昔から人を苦しめていた行為に、わかりやすく名前が付けられただけの話です。
こうしてわかりやすく名前が付けられることによって、声を上げやすくなるんです。
もし、言いなりになって1ヶ月間ハラスメントに耐えて精神的に追い詰められたとします。
回復するまでにどれだけの時間とお金がかかると思いますか?
数か月で回復できればかなり良いほうで、何年も療養が必要になることもあります。
療養中には治療費はもちろん生活費もかかりますが、症状が重ければ働くことは出来ません。
その間、あなたを傷付けた人たちは普通に生活を続け、あなたを大切に想う人が辛い思いをする羽目になります。
「就職難でここから逃げると他に仕事がない」と思いつめちゃう人もいますが、働く場所はこの世の中にごまんとあります。
必要なのは、ハラスメントに『No』を突き付ける勇気です。
ブラック企業からとにかく逃げる方法
逃げるは恥とも言いますが、自分を守るために逃げることは勇気ある行動です。
新しい場所で頑張ること・一度心身を休ませることは悪いことではありません。
転職する
- また同じ目に遭ったらどうしよう
- どうやって会社を選べばいいのかわからない
- 辞めてからブランクをどう説明すればいいのかわからない
一度ブラック企業に入ってしまうと、再就職に前向きになれないかもしれません。
忘れないで欲しいのは、『あなたを大切な人財として扱ってくれる会社』はこの世の中にたくさんあるということ。
エージェントなら専任のコンサルタントがつくので、ハラスメントにあったことや、ブランクができてしまったことなど、全て相談してしまいましょう。
あなたにあった信頼できる会社を紹介してもらえますよ。
とりあえず退職する
ブラック企業での毎日に追い込まれてしまうと「転職活動なんて出来ない」と言う人が多くいます。
だからといって、無気力になってその職場に通い続けることはキケンです。
いつ心がバラバラになってもおかしくないからです。
次の職場が決まっていなかったとしても、「辞めよう。辞めたい。」と心が判断できているうちに脱出してください。
辞めるためには『退職届を提出する』ことが一番大切です。
月給制の正社員は、基本的に退職届を提出してから最短2週間後には退職することができると法律で定められています。
・退職届と退職願はまったく別のもの
- 退職届→退職する意思をはっきり会社に伝えるもの
- 退職願→退職させてくださいと会社にお願いするもの
退職願だとあくまでもお願いなので、ブラック企業であれば却下される可能性が高いんです。
絶対に辞めたいのであれば、『退職届』を出しましょう。
・できれば3ヶ月程度の生活費を貯金しておこう
退職してハローワークに申請すれば、3カ月後には失業保険が受け取れます。
つねに3ヶ月分の貯金を意識していれば転職先が決まっていなくても、限界になった時点で逃げることができます。
ブラック企業と戦って働き続ける方法
ここから紹介するのは、あなたがその会社でこれからも頑張っていくための対策です。
理不尽な状況やハラスメントに対しての改善を会社に要求します。
会社に改善を求める
一番手っ取り早いのは、ハラスメント加害者よりも上の立場にいる人に相談するということ。
その人があなたの思いを分かってくれれば、最も早く穏便に物事を済ませることができます。
ただし、法的な制裁を受けることはないので、こそこそ嫌がらせを再開する加害者も少なくありません。
そのたびに相談していると会社側も対応が面倒になり、被害者に対して「少し我慢して」と言い出すこともあります。
もし、そんなことを言われたら『パワハラに対処するつもりはない企業だ』と判断した方がいいでしょう。
労働基準監督署に相談する
社内で声をあげても対応してもらえない場合、社外の労働基準監督署に相談するという方法があります。
労働基準監督署は第三者の目線であなたの状況を判断してくれます。
その上で、必要であれば労働基準監督署の職員を交えての話し合いの場を設けることができます。
会社としては、労働基準監督署に目を付けられたくないでしょうし、ハラスメント以外にも隠したいことがある会社であればかなりの痛手になるでしょう。
そのため、「労働基準監督署に相談します」と言うだけでも、ある程度効果があるかもしれません。
裁判をする
「そんな大ごとにするなんて…」と思うかもしれませんが、これも対策の1つです。
また、裁判を起こすと会社を辞めなければならないと思われがちですが、その必要はありません。
居辛くなって辞めてしまう人が多いというだけです。
もし働き続けられる環境であれば、在職したまま裁判を行なった方が証拠集めに有利です。
会社の規定をまとめた書類・加害者の普段の行動などを細かくチェックすることで、裁判を有利に進めることができます。
ブラック企業と戦うメリット・デメリット
会社に待遇改善を求めて戦うのは働く人の権利ですが、メリット・デメリットがあることも知っておく必要があります。
メリット
- 慰謝料やサービス残業代を支払ってもらえる
- 公に『加害者』と『被害者』がはっきりするので「自分は何も悪くなかった」という自信を得られる
- 今後の仕事の進め方や転職についても、わだかまりなく自分の思うように進めていくことができる
デメリット
- 時間と労力がかかり、とにかく大変である
- 裁判となるとお金もかかる
- 「自分の立場が悪くなる」となかなか社内の実態を証言してもらえない可能性がある
- 「関わりたくない」と社内に味方がいなくなる可能性がある
- 社内に居辛くなり、途中で心が折れてしまうことがある
このようなメリット・デメリットをふまえて「それでも自分は会社を戦いたいのか」を冷静に判断することが大切です。
また、考えた結果『戦わずに逃げる』という選択をしたとしても負い目に感じることはありません。
『自分を自分で守ること』を一番に考えて行動してください。
まとめ
ブラック企業が0になれば一番いいのですが、それがいつになるかは分かりません。
就職してから後悔することのないように、ブラック企業を除外しながら就活をしてほしいと思います。
また、もし入社してしまったとしても「不当だ」と感じる扱いに耐える必要はありません。
逃げてもいいんだということを知っておいてくださいね。
最後に。
老人ホームで『後悔していること』を尋ねると、多くの人は「もっと自分のために生きれば良かった」と答えるのだそうです。
誰も「もっと会社の言うことを聞き続ければ良かった」とは言いません。
働くことは大切だし必要なことですが、自分をちゃんと大事にしてあげましょう。
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